「空気人形」

みた。

「誰も知らない」の是枝監督の作品だから、悪いわけはないと思ってたけど、
思ってたよりもよかった。期待を大きく上回る作品。

考えてみたら、空気人形って、そのまんまのタイトルなんだな。(笑)

あの、高層マンション群を川向こうに望む、川のそばの小さな公園を
見つけたところで、この映画の成功は決まったようなものだ、とも言える。

そして韓国の若き名優、ペ・ドゥナ。彼女が存分に魅力を爆発させてくれてた。
文字通り、体当たりの演技で。

この映画の主演女優、はじめっからペ・ドゥナで決まりだったんだろうか。
日本の若い女優ならば、ちょっと躊躇してしまうだろうな。
それもそうだし、あのまさに空気感というか、所在なげな感じを出せる
日本の若い女優って、いるかなあ。ちょっと思い浮かばない。
有名どころを使えば、その女優の固有名詞がオモテに出て、もっとずっと
生々しい感じになってしまっていただろうな。

最後のオチは、思ってたよりもずっと悲劇的(?というか、なんというか)。

あと、オダギリ・ジョーが、おいしいところで登場してた。いいところを
全部もっていった感じ。

ストーリーにはほとんど関係ない脇役?の人たちのエピソードが
ときどき描かれ。それが映画の印象を一層ゆたかなものにしてくれてる。
鍋の隠し味みたいに、料理のコクをいっそう増してくれてて。

こないだ見た、ラブ・アクチュアリーの手法を、すこし取り入れてるのかな、
とも思った。あとは、フォレスト・ガンプの冒頭のイメージとか。

いやぁ、いい映画だなあ。
感動大作、って感じではないけど、いつまでも心に残る、
すてきなファンタジーですね。

レンタルビデオ店で起こる、ふたりの交歓の場面は、
どんなラブシーンよりもエロティックなものでした。

おすすめ。