麦の穂をゆらす風 (2006)
【監督】ケン・ローチ |
[100点]「批判することは簡単だが。」
淡々としすぎていて、映画としての面白味に欠ける、と、アイルランドと英国の歴史を知らない日本人の我々が批判することは簡単だが、こういう表現を取らざるをえなかった、ということに思いをいたすことはできないのだろうか。
英国人であるケン・ローチ監督がアイルランド独立の物語をアイルランド側に立って描く、これがどのくらい勇気の要ることか、われわれ日本人は、自分の胸に手を当てて考えてみるといい。
極論かもしれないが、この映画がここにあるだけでいい。映画的なおもしろさなんていうのは二の次だ。そういう映画というのもこの世界にはあるのだ。
「麦の穂をゆらす風」という、映画の内容とはおよそ懸け離れた牧歌的、叙情的なタイトルを監督がつけた意味を、いまいちど噛み締めてみたい。