あたしは、映画に厳しい。自他共に認める、ちょきびな映画鑑賞者だと思う。日本でロードショー上映される映画の9割以上は駄作だと斬り捨てる、映画製作者にとっては、要らない存在だと思う。
けど、今日見た「それでも夜は明ける」は、よかった。アカデミー賞作品賞に輝いてるんだから、当然といえば当然なんだけど。
で、いまさっき気づいたことがあって。オグラのいままで見て感動した好きな映画は、例外なく、ヒロインが超よかったんだよね。
けど、この「それでも夜は明ける」は、ヒロインらしきヒロインは、出てこない。最初から最後まで、徹頭徹尾、所為諸法…本末究竟等、おっさんがずっと主人公で。
そんな映画なのに、飽きもせずにずっと惹き付けられてた、そのことに、自分でも驚いた。
奴隷制度について、少しだけ、いろいろ学んだ。
北部と南部で黒人の人たちの扱いが天と地ほど異なっていたこと(これはけっこう知ってた)。
北部の「自由黒人」が、それでも騙されて南部に連れてこられて奴隷として働かされたことがいっぱいあったこと。
なかにはいい白人もいっぱいいて、黒人の人たちを少しだけでも、助けていたこと。
などなど。
仏教徒の僕が、不思議でならないのは、支配階層の宗教であるキリスト教を、どうして黒人の人たちも、信じることができるのだろう。どうやって聖書を自分にひきつけて読むことができたのか。
なんだかいろいろ、謎が増えていくね。
いい映画って、きっと、ホントにイイ映画って、思いっきり、見た人に大きな謎をいっぱいぶっつけて終わっていくんだろうね。
だから僕は、映画の終わりに流れるエンドロールが流れてるあいだじゅうは、凍り付いて、席を立つことができない。どうしても。
いまいちばんみたい映画は、ネルソン・マンデラを描いた映画かな。
僕はマンデラさんに、一度だけ会ったことがある。
東京の真ん中の、新聞社の前庭で。