みた。
中米のホンジュラスから豊かな生活を求めて米国に向かう少女と、
ギャングの親分を殺してしまい、追われる身となった青年との
逃避行の物語。
ひたすら苦い。
ギャング団は徹底して血も涙もないし、列車の屋根に乗って米国を
目指す旅はどこまでも厳しい。
って、映画の感想を述べるときに、過不足なくストーリーを紹介するのが
この男は大の苦手。(笑)
みなさん、とっくにご存じでしょうけど。
ストーリーじゃなくて、感じたことをそのまま書きたいから。
いい映画だと思う。監督は日系3世か4世の米国人。実際に移民たちと
列車の屋根に乗り旅をしながら、映画の構想を煮詰めていったとか。
静かだけど意志の強そうなヒロインがとにかくいい。
追われる青年も、正義感の強そうな瞳がいい。ギャングなのに
正義感が強い、っていうのも変だけど。
ロードムービーというのは、目的地に向かって進むというシナリオから
逃れることができないから、ある意味、大きな制限が課せられていると
いえる。そして、組織から追われる彼が、無事に国境を越えて、彼女と
米国で幸せに暮らしましたとさ、という結末なんか訪れるわけはないと
いうのも、火を見るより明らかで。
まあ、ベタといえばベタだが、ベタにもいいベタと悪いベタがある。
ベタの中身が大事といえばいいか。ベタというのは、ほぼ予定調和
という言葉と同義ですね。
映画なんてある意味、予定調和の固まりなのであり。
でもそのなかで、どう味をつけて個性的な魅力を生み出して
いくか、だよね。
しりとりのように、見た映画のなかに、次に見るべき映画の糸口を
見つけようとしてる私。たぶん次は、前から見たいと思っていた、
「フローズンリバー」かな、という気がする。移民つながりで。
越える、というのは、映画の大きなテーマのひとつだよね。
越えるものは国境だったり、身分や民族の壁だったり、いろいろ
だけど。
そういう意味では、日本の映画が内省的にならざるを得ないのも
わかる気がする。日本の我々がいま越えるべきものって、ものすごく
見えにくくなってると思うから。
いや、映画っていいなあ。
中南米には僕は行ったことがないし、このあと行く予定もないけど
350円、2時間で、中南米に行った気になれるもんな。
時間があるうちに、徹底して映画を見ておこうという気になった。
あ、書物もね。
布団に横になって、だらだらtwitterばかりやってても、しょうがないという
ことに、ようやく気づいたから。
この「闇の列車、光の旅」、ひたすら苦いんだけど、でもその苦さの先に
ほんのりと甘みを感じるのは、なぜだろう。