日記
●平成十年
・5月1日(金)
きょう、Hさんと一緒に、八王子までCAPA展を見に行ってきた。
すごくよかった。連休の谷間で、意外に空いてたし。
一番最初に飾ってあった、イタリアでの、戦死した息子たちの葬儀で
号泣する、母たちの写真に、強く心を打たれた。オリジナルプリントだという。
今までで、一番感動した写真になると思う。いろいろなことを感じた。
真ん中に、息子の写真を(こちらに向けて)持っているオバサンがひとり。
それがすごく気になった。良くも悪くも。
今月は、たくさん更新できるといいなぁ。と期待を込めて。
今ふと思ったけど、この日記は、私の最後の逃げ場所になってるな。(^^;
ご想像どおり、プライベートで、いろいろ動きがありました。(^^;
5月も、なかなか濃いい月になりそうだ。(……かな?)
では。また明日?
・5月18日(月)
やっと今日、7月号の作業が終わった。……疲れた。
来月号は、実はもっとしんどい。(^^;
なんだか先が見えないことが多くて、辛いっすけど、
けど、頑張るよ。なにを、どう頑張るかは、まだみえて
ないんだけど。
・5月20日(水)
今日、村上春樹の「国境の南、太陽の西」を読み終えた。
3回目か、4回目。
なんべん読んでも謎めいている。
最初に読んだのは、高校生のとき。多分、「ノルウェイの森」は
ベストセラー過ぎて、恥ずかしくて読めなくて、で、その次の
これをこっそり読んでみようと思ったのだと思われ。
読み終わって、何も感じなかった。何も分からなかった。
何も伝わってこなかった。
で、友人のH氏に、この作品のことを酷評する言葉を吐いた気がする。
(実際の言葉も覚えているけど、ここにはとても書けない)
世間的な評判も、かれの作品の中では、それほど芳しいものでは
ないようで。けど、かれは自分にとってすごく大切な作品だ、という
ことをどこかでいってる。
そのことがいま、すごくよく分かる、気がする。
具体的に起こる事件の一つひとつの意味を問うていくことには
いまは私は興味がない。それよりも、この作品に一貫して流れる
「しみじみ感」(って書くと内容がなくなるけど)をじっくりと
味わいたいというか。
子どもの頃の島本さんとの思い出、なんだかとても、好きだ。
遠く離れてしまったけど、いまの自分のすごく近くにいつもある、
原点、とでも呼べばよいような、強くて深くて重い体験。そのあとにくる
大きなおおきな、喪失感。
青春期の恋愛の思い出。イズミを傷つけた苦い思い。
ずっとずっとあとまで引きずることになる……。心に深く
残りつつ、どうすることもできない、マイナスの遺産。
ずっと話が飛んで、最後の最後に、辛うじて現実に踏みとどまる。
本当に紙一重。99%は向こうへ行ってしまっていた……。
どうして島本さんはひとりで行ってしまったのか。
全編を通して謎めいたエピソードが散りばめられてるけど、
どれも、とってつけた感じはしない。中年男から金を受け取る場面、
石川県の山奥の川に島本さんが遺灰を流すシーン、友人からイズミの
不幸な現在を知らされ、東京で実際に出会ってしまうところ。
何がいいたいんだろう。
生きていくうちに、人は誰かを傷つけてしまう。それはどうしようもない
避けられないことなのだ、
そのために、その相手が不幸になったとしても、それはその人の人生が
そうだったというだけで、傷つけた側の責任ではない。
そんな感じのことを、友人の口から語らせてるけど。
だれかを傷つけたこと、ありますか?
わたしは、あります。それも、たくさん。
どうしていいかわからないことが、たまにある。
H女史に「もう傷つきたくないって気持ち、ある?」って
昨日聞いた。11時半ごろ。地下鉄の駅の公衆電話から。
「ある。」って一言。……。
傷つけてしまうのなら……。しっぽを巻いて
逃げるならば、いまのうちだぞ。
なんだか、すこし、ナイーブになってしまいますね。
この「国境の南、太陽の西」を読むと。タイトルからして、
何だか物哀しいじゃない。
アンナ・カレーニナ(上巻)に疲れ、椎名誠(哀愁の町に……)に
ちょっと物足りなさを感じ、今朝、本棚を眺めて、ああ、これだ、と
思った。明日はきっと、シイナに戻れるかな。またあの、むちゃくちゃ
明るい、パワフルで奇妙な共同生活にひたれる、かな。
2、3日前から、ギルバート・オサリバンのベストアルバムを聴いてる。
といっても、1曲目の、Alone Againばっかり、聴いてるんだけど。
すごい曲だよね。Alone Againっていうタイトルが、秀逸。で、歌詞カードを
読んで、はじめて歌の意味を知ったよ。で、さらに深くこの曲を好きになった。
またひとつ、ギターで歌いたい曲が増えた。難しそうだけど。(^^;
寝よう。そろそろ。
おやすみなさい。
・5月21日(木)
椎名誠の「哀愁の町に霧が降るのだ」を読んでる。どうだろう。とくに感想とかは
ないなぁ。いろいろ考えなくても、すらすらと読めるのがいいところか。全然
ほめてないか。
私にとってシーナは2冊目。最初に読んだのは「新橋烏森口青春篇」。
こちらの方が、内容が濃いくてよかったかな。うん。好きな女のことを
語るシーンなんかは、けっこう共感して読めるかな。(^^;
もう少し、書き込んでほしいなぁ、とはいつも思うけど。ちょっと私にとっては
さらっとしすぎてる、かなぁ。あくまでも、私にとっては、だけど。
・5月22日(金)
今日、写真家の小沢忠恭さんの事務所にお邪魔して、いろいろと
お話をうかがった。
私の、写真人生(第2期)のスタートにあたって。
お話をうかがってたら、写真で飯を食うというのが、いかに大変か、という
ことを、思い知らされた。
でも、逃げ腰かも知れないけど、写真ていいんだよー。どうしていいのか
分かんないけど。本当に。
私がたまに、女っていいよね、っていうのと、まったく等価値に、
写真ていいよねー、って科白が、ある。
(これは別に、オグラが好きなのはおねえちゃん写真だけだ、という意味ではない)
・5月23日(土)
今日、すごく嬉しいことがあった。
懐かしい友達から、メールが突然、来た。
うれしかった。
・5月24日(日)
(昨日の続き)
懐かしい友達からメールが突然来て、嬉しかった。すごくすごくすごく。
向こうは迷惑と思うかも知れないけど、私の最近のいろんな悩み&愚痴を
相談するのに、最適な相手かもしれない。普段、顔を合わせたり、喋ったり
ということがない人なので。
考えてみたら、10年以上、会ってない、よね。最後に別れたのは
京成酒々井駅だったかなぁ。夕暮れ過ぎの時間帯。前後の記憶は吹っ飛んでるけど。
彼女の家は酒々井にあったのだ(たぶん、今も)。で、私が京成でうちへ帰るのを
駅に見送りに来てくれた。切符持ってないのに、改札をくぐって(無人駅だった?)
ホームまで来てくれて。なんか、そのことをハッキリと覚えてる。あれって、
夏休みの出来事だったのかなぁ?? それとも、学校が始まる前、春のこと?
……覚えてない。けど、電車の中で思ったのは、ああ、ひとつの青春がまた終わりを
告げるのだなぁ、ということ。そう、私の中では、青春は何度も終わるものなのよ。(笑)
佐田雅志の「8つめの青春」みたいな話だなぁ。いいけど、別に。……何が?
高校時代、一緒に何遍か、コンサートに行ったなぁ。朝早くからチケットを取るために
並んだり。学校途中で抜け出したり、ね。うーん、なつかしいなつかしい。
楽しかったなぁ。高校時代が、一番。私、複数証言によると、性格むちゃくちゃ悪かった
らしいけど。ま、過ぎたことは新井白石という感じで。能ある鷹は伊能忠敬という諺も
あることだし。(^^;
どうも、最後に着地で失敗してしまいましたね。しばらくはセンチメンタルな文章が
いい感じで進んでたのに、ね。