いま時点での、小倉雄一としての、D200縞問題についてのコメントを記す。
僕個人としてもD200を発表直後に予約し、発売当日に購入した。一月のベトナム取材旅行でも、ガンガン使用したが、いまだに一度も縞々を経験したことがない。たまたま、縞々が出ない個体に当たったのかもしれないし、たまたま、縞々が出るシチュエーションで撮影していないだけなのかもしれない。それはわからない。
自分のカメラで縞々が出ないから、という理由だけではないが、kakaku.comの掲示板とかで、ものすごい勢いで、ニコンを糾弾しているユーザーの方々の気持ちが、どうにも分からなかった。どうしてそこまで真剣に怒(いか)れるのだろうか、と。
そうして、すこしわかったことがある。
D200の縞々問題で、ブチ切れてる人たちは、みんな、ニコンが死ぬほど好きなのだ。ニコンに期待しているのだ。ニコンに、完璧なまでに、いいカメラを、いいデジタル一眼レフを、作ってほしいと思っているのだ。
だから、ニコンから、縞々ノイズが出ちゃうようなデジタル一眼レフが発売されてしまったことに関して、どうしても、許すことができないのだ。たぶん、信じ切っていたニコンに裏切られた!という思いなのだと思う。
そのことに気づいてから、鬼のように怒っている人たちの気持ちが、すこしずつ、わかるようになってきた。
それとともに、ニコンのつらさも、よく分かるような気がする。分かるような気がする、という言い方は、あるいは傲慢かもしれないが。けど、取材などで、ニコンの開発の方々に、たくさんお会いしているだけに、開発の現場では、たぶん、それこそ、休日返上で、寝る間も惜しんで、この縞々問題を解決しようと、解決したいと、日夜努力している姿が、自然と浮かんでくるから。
ソニーだって、同じだと思う。DXフォーマットで、CCDで、画期的な10メガ超の撮像素子を完成させた。それも、ニコンの求めに応じてか、秒5コマの連写が達成できた。いままでに類を見ない、RGGBの4チャンネル読み出し。ソニーとしても、ものすごく、自信作だったろうと思う。
僕が自分に対して、決めていることがある。それは、
自分ができないことをしてくれる人には、尊敬の念を
つねに持とう、
ということ。僕は撮像素子は作ることができないし、カメラも当然、作れない。ペンタプリズム、AFセンサー、クイックリターンミラー、液晶モニター、十字ボタン、ストラップ、ストラップ取付部……。
だから、今回の件で、僕は、個人的には、ニコンを糾弾しようとは思わない。ニコンが(そしてソニーが)、いちばん辛い思いをしてると思うから。
どうしてもニコンが許せない、D200にはブチ切れた、というユーザーは、あるいは、きっぱりと、D200を手放すことを考えてみたら、どうだろう。きっといまなら、中古カメラを買い取ってくれる店ならば、きっと、いい値段で買い取ってくれるはずだ。縞々が出るかどうかなんて、買い取りのカウンターで、確認されないと思う。
そして、D200を手放したあとで、C社でもP社でもKM社でもいいから、ニコンじゃない他社のカメラで、いい写真を一枚でも多く仕留めて、そうして、ニコンをぎゃふんと言わせてやればいい。
D200の縞々問題が、完璧なまでに解決した、とご自身がお考えになるときが、きたら、そのときは改めてD200を購入して、ファインダーの見えのすばらしさや、連写性能のすごさ、シャッターを押して、すぐに切れる気持ちよさ、それから液晶モニターのでかさや、等倍を超えてギザギザになっちゃうくらいすごい拡大率の拡大再生、なによりも持ってみて、ずっしりしっくりとくる、ボディの剛性を、あらためて確かめてみてほしい。
そんなことを、つらつらと考えました。
ご無沙汰です。
トラックバック、どうもありがとうございます。
さて、小倉さんの意見は実に客観的な分析ですね。
本当にその通りなんだと思います。
私は自分のブログでみなさんに叱られてしまっています。
難しいもんです。こういうときの対応というのは。