あたしはずっとプジョーに乗ってた。古いプジョーに。
きっかけは2004年の5月にロシア・モスクワに行ったこと。モスクワの街を走っていたプジョーが、もうかっこいいのなんのって。
それで、しばらくしてブルーの206を買った。たしか京葉道路の篠崎のあたりの中古車屋さんで。
もちろん、値段なんか覚えてない。オートマだった。
このヒトを手放そうと思ったきっかけは、ハッキリ覚えてる。乗り始めてしばらくして、オートマなのが物足りないと思った。そして決定的な出来事が。
デジカメ雑誌の取材で、後輩のS君を乗せて、長野まで行ったときのこと。急坂をのぼっていたときのこと、ハンドブレーキを上げたら、ズズズッと後退し。こりゃやべえ、と思って、ソッコー手放した。
次に買ったのは、赤の307。もちろんマニュアル。横浜の都筑区のイケてる中古車屋さんで購入。
じつはマニュアル車に乗るのはすごく久しぶりで、マニュアル車の運転のしかたをすっかり忘れてた。クルマを敷地から出せずにいると、お店の人が一言、耳打ちしてくれた。「半クラッチですよ」。
それで思い出した。ギクシャクしながらもクルマを前に進めることができた。無謀にも首都高を通って帰ってきたんだけど、都心の狭くてアップダウンが激しいあたりで、ブレーキが遅れて、前のトラックにぶつかったと思った。ぎりぎりセーフだった。
そんなこんなで、この307はずいぶん長く乗った気がする。7年とか? 買ったクルマが5年落ちとかだったのかな。
このクルマを廃車にした最大の理由は、助手席に乗せた母が、粗相をしてしまい。そのにおいが取れないんじゃないかとトラウマになり、手放してしまった。いま思えば強力な消臭剤とかを使えば、なんとでもなったのにね。
そしてその次に、赤い308(初期型)を購入。買ったのは名古屋の中古車屋さん。もちろんMT。
名古屋から新東名を飛ばして帰ってきた。途中、サービスエリアに寄ったんだけど、バックギアの入れ方がわからない! その場でググってしまったよ。軸上の取っ手?をつまんで左上に入れるのね。
そう考えると、307は5速マニュアルだったのね。まったく記憶にないけど。
この赤い308(初期型)もけっこう長く乗った気がする。で、プジョーの宿痾とも言うべきエンジンオイル漏れに悩まされ。クーラント漏れも修理した。2000年のコロナ禍でフリーランスに補助金が出て、なんとかそれでオイル漏れその他を直した気がする40万円くらいかかった。
そのあともしばらく乗ってたんだけど、ある日、撮影に行こうと駐車場でエンジンをかけたら、なんかブスブス言って、まともにちゃんと走らない。それでものすごい衝撃を受けて、仕事に使うクルマで、外車なんか乗ってちゃダメだ!と強く心に刻んだ。イグニッションコイルがひとつイカれてたんだけどね。それでハナマル(いまのソコカラ)に引き取ってもらった。たしか4万円だったような。
そのあと、カネもないので自社ローンの中古車屋、市川のお店でスズキのスイフト(5速マニュアル)を購入したんだけど、なんかピンとこず、2か月で手放してしまった。
そのあと、滋賀の草津の中古車屋さんで、紺色のプジョー308を購入。いくらだったかなあ。この人もけっこう短命だったような。というのも、やっぱりプジョーは赤じゃないとダメなんだ、とあたしの全身のDNAが叫びまくり。あとは、買ってしばらくして、自宅の近所の細い道を走ってたら、小学生の男子をよけようとして、左側を角のポールに強打してしまい。エラい傷がついてしまった。
それも苦にして、また赤の308に乗りたいなあ、とカーセンサーやグーネットをチェックする日々。
そんなとき、狭山の中古車屋さんでピッカピカの赤い308MTを見つけたさ〜。値段もめちゃお買い得で。もう買うしかない、とソッコー購入。本体価格は35万円、全部で50万円。それを4年ローンで。
それが2年前の夏の日のことだ。笑
あ、それは308の初期型のマイナーチェンジしたヤツね。慣れるまでに時間がかかったけど。でもやっぱりかっこいい。
プジョー308って調子よく走ってるときは、本当にいいクルマなのよ。ただ、やや病弱かな。いや、違う。あたしが5年落ち、7年落ち、10年落ちの中古車ばっかり購入してるから、必然的にあちこちガタがきてて修理費がかさむだけだ。
で、今年の春、クーラント漏れを起こし。以前から宿痾であったエンジンオイル漏れの症状も見せていたように記憶してる。で、近所のホームセンターで安いオイルを購入し、オイル残量不足の警告灯が出るたびに自分で補充してた。クーラントのほうも、同じようにホームセンターで買ってきて、じょぼじょぼ補充。だけど日に日に減る速度が加速度的に速くなり。
たしかあれは、練馬の小学校の移動教室の撮影で、外環道の大泉インターを降りるころ。クーラント漏れの警告が発せられ。すぐそこのファミマの駐車場でしばらくクールダウンさせて。
撮影が終わったら、そっこー市川のディーラーにピットインさせてもらい。
で、クーラント漏れとエンジンオイル漏れの修理をしてもらった。エンジンオイル漏れのほうは、取り急ぎの箇所だけ。それで20万円くらいかかったかな。
修理を進めてもらってる市川のディーラーの担当者の方から連絡があり。
「バッテリー保護管理ユニットが故障してますね」と。たしかに赤いバッテリーのマークが点灯してる。カネもないので、その修理は後回しで、と言ったんだけど、数日したら、バッテリーが上がってしまい、エンジンがかからない。なので、加入してる全労済のマイカー共済のサービスを利用してレッカー車を呼び、市川のディーラーまで運んでもらった。
クーラント漏れ修理のときと同じ、黄色い208を代車としてお借りしたんだけど、担当者の方がこんなことをいう。
オグラさんのために、代車の208、キープしてたんですよ、と。
は?と思った。それって、バッテリー保護管理ユニットの故障によって、近日中にまたクルマを修理のためにピットインさせることになるってわかってたってこと? なんかものすごい不信感を抱いた。
それからまたしばらくは快適に走ってたんだけど、7月のある日、稲毛の幼稚園の撮影のあと、帰宅の途上、なんかやたらエラーが頻発する。いままで見たこともないような頻度で。そのつどクルマを止め、少ししてからまた走り出すんだけど、すぐに警告灯がガンガン光る。
なんとか騙し騙し、自宅の駐車場までたどり着き。そこで考えた。翌日は土曜日。早朝から幕張のマリンスタジアムで撮影があり、行かなければならない。さあ、どうするか。クルマで行けるかなあ、無理かなあ、ちょっと試しにクルマを走らせてみよう、と思って自宅の周辺を走って戻る途中、旧菅長学園の近くの民家の前で、ついに事切れた。
またも、マイカー共済でレッカー車を呼び。翌日に市川のディーラーに運んでもらうとして、あたしの次の日の早朝からの仕事をどうするか、っていう話をしたら、うちのレンタカーをお貸ししましょうか、と涙が出るほど嬉しい申し出をいただき。
そこから8日間、トヨタのパッソをお借りしてた。一日5,000円だったかな。
クルマの不調の原因は、のちほどディーラーの方から知らされた。
ファンベルトが切れてました、と。
内訳はよく覚えてないんですけど、最初のクーラント漏れの修理から数えて、レンタカー代も入れて、ここまででトータルで60万円くらいかかった。春にGetした確定申告の還付金はとうに消え、いろんなモノを売り払って、なんとかカネを捻出し。もう泣きそう。
こんなことは輸入車に乗る人間にとって常識中の常識だと思うんだけど、部品ひとつ取っても、海外からの輸入になるので、ひとつひとつ高くつく。あと、輸入車のディーラーって強気な商売をしてるので工賃も国産車のディーラーに比べたら高いと思われ。まあ、それだけ客層がアッパークラスだからね。
何度も「貧乏人はプジョーなんか乗っちゃダメですよね」とディーラーの方に泣き言を言い。
まあもちろん彼らは「そのとおりですよ!」などとは言わないわけだが。
考えてみたら、もう完全にダメになってからクルマを廃車にするというのは、今回が初めての気がする。いままでは、つねに“余力”を残しながら、次のクルマに行ってた。まあそれが理想的というか、なんというか。でもクルマの寿命って素人にはわかりづらいよね。
前の前の赤のプジョー308は、たしか17万キロとかいってた。それをディーラーの人に話したら、よほど丁寧に乗ってたんですね、って。ふつうはミッションとかがダメになって交換になるんだという。
まあ、たまたま運がよかったんだろうね。そうとしか思えない。