映画のコク

コクのある映画が好きです。

なんつて。

前にDVDで観た、潜水服は蝶の夢を見る、おもしろかったんだけど、もうすこし、
というところで、コクがないな、と思った。

考えてみたら、おぐらは、コクのある映画が好きみたいだ。

じゃあコクってなんだ、っていわれると、うまく説明できないんだけど、
見終わったあとの、余韻みたいなものに似てるんじゃないかと思う。

こないだ、帰りの飛行機で観た、トウキョウソナタ、も、あと一歩というところで
コクが足りないと思った。

たとえば、映画を鍋に喩えることができると思う。いろんな役者の演技とか
脚本とか、演出とか、音楽とか。ごった煮にして。

で、どんなコクがうまれてくるか。それが鍋の醍醐味だし、映画の醍醐味じゃない?

たぶん、映画って、たぶんだけど、作る前、それから作ってる途中で、完成作品が
どんなコクを発することになるか、予想するのはとても難しいと思われ。もちろん、
こういう作品にしたい、と思ってみんな頑張るんだろうけど、だいたい、仕上がりというのは
作る前に思い描いてたのとはだいぶ懸け離れたモノに、なるわけだ。たぶんね。

至極当たり前の話かもしれないけど、作る前のイメージと、完成した作品とをバチッと
一致させることができるのが、すぐれた映画監督なのではないかと思われ。
いいたいことを、ちゃんと映像作品として、まとめられる、というか。

とかってえらそうなことを書いてるけど、まあだいぶ全然規模は違うけど、ムックとかも
ひとつのパッケージという意味では、映画とか鍋と似てると思う。

台割を作る段階で、完成品のイメージをできれば、そのムックを成功させることも
できるんだろうし、その逆だと、なかなか売れるムックを作ることは難しい、といえる
のかもしれない。

このあと、諸般の事情から、おぐらの仕事の状況が激変することが予想されるけど(笑)
あんまりビクビクしてないのは、自分はこの12年ほど、雑誌の編集者として、それなりに
やることはやってきた、という自負があるから、かな。

例の単行本の作業を淡々と進めながら、営業活動に余念のない毎日だけど、
まあ、いろいろ考える時間ができて、いいなあ、と素朴に思う。
カメラ誌のムックを作ってるときは、不思議にも、自分でこういう写真を撮ろうとか
ああいう写真を撮ろうとか、そういう気持ちが湧いてこないもんなんだけど、そうじゃ
ないときっていうのは、あ、これって四角く切り取るといいかも、絵になるかもね、って
いうモチーフを、街のあちこちで、見つけることができ。

不思議だね。

そうだ。そういえば、いま、ちょうど5年ほど前の、小倉の会社を辞めるときの送別会の
ことを思い出してたんだけど、あのカメラマンさんは来てたかな、と、ふと頭の中を
grepかけて(全文検索して)、どうしても思い出せず、けど、そういえばはめてた
腕時計を廊下で外して渡してくれたのを、思い出した。僕は腕時計をしない人なので
二階の書斎の机の引出のなかで、ずっと眠ってるけど。

いろいろなことを考えるときだなぁ。

いまから新しい編集部で、こんな提案をしようとか、あんなムックを作ろうとか、
祈ってると、いろんな智慧が湧いてきて、忘れないようにするのが大変なんだけど
今日も、先日予告したAi Nikkor 35mm F2Sを、近所のキタムラに取りに行ってきて
ピントリングを触った瞬間に、微妙にスカスカで、若干脱力系。でもそれをレジの
おねえさんに気づかれないようにしながら、大枚23,000円を払ってきた。光学系は
前の個体よりもスッキリしてるみたい。シリアルが古いのが若干気になるけど。

MF Nikkorの本を作りたいなぁ。

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