1999年2月

日記

●平成十一年

・2月7日(日)

うーん、咳が切れないなぁ。金曜日に近所の医者に行って、
見てもらったんだけど。薬を5種類×4日分、もらった。
血液検査もしてもらったよ。X線は撮らなかったけど。

どうもねぇ。しばらく前から、のどの方からしょっぱい咳が
こみ上げてくるのね。なので、分からないなりに考えてみるのだが、
きっと気管支炎とか?じゃあないのかなぁ、と思うのだが。
このまま咳が止まらなかったら、また同じ医者に行こう。
お医者さんにとっても詳しい某Mは、
大きいところに行って、ちゃんとレントゲンを撮ってもらった
ほうがいい、っていうんだけど、なかなかなぁ。医者にとんと
縁がない私は、「医者を選ぶ」ということがピンとこない。
近くて空いてるお医者さんがいちばんいいと思っているので。(^^;

冗談はさておき、病状が悪化して入院とかいうことになったら
会社のみんなにも迷惑を掛けるし、なによりお給料が減っちゃうし
そうなると、ただでさえ経済苦の小倉家の経済に多大な打撃を
与えることになるので、それだけは避けなければいけない。
つうことで、もう少し様子を見て、本当に変だったら、
ちゃんとヘルプ信号を出そう。医者に対して。

特別変わったことはないのだが、そう、昨日、輝さんの紀行文
「ひとたびはポプラに臥す」2巻を買った。さくっと読んだ。
中国の奥地で、カメラマンの人がコンタクトを落とす描写があって。
私も前に職業カメラマンをしていた関係上、なってないなあ、と
思った。だいたい、海外に行くのにコンタクトで出かける。それも
替えを1セットしか持ってきてないというのだから、恐れ入る。
眼鏡にしろよ、眼鏡に、とか叫んでしまった。もちろん、彼には
彼のいろんな事情があるだろうし(コンタクトじゃないと視力が
出ないとか、体質的に眼鏡はダメ、とか)、眼鏡だってもちろん
落として壊れることはある。けどさぁ、それにしても、中国の
奥地で強風に吹かれてコンタクトを道に落とす。それをみんなで
さがす、という図は、かなり間抜けだよなぁ。

さらに少し、勝手な感想を書くと、彼の写真、旅を続けるに
つれて、少しずつ、よくなってきた。被写体への近づき方とか。
うーん、やっぱり旅は、過酷な旅は、男を成長させるんだなぁ、
とか思った。けど、夕日に浮かぶハンググライダーの写真は
なかったんだけど。(^^;

ま、それはそれとして。読んでない人にはちんぷんかんぷんの
文ですね。ははは。

あ、そうそう。文春文庫(?だったと思う)で、「タマリンドの木」が
出ていた。池澤夏樹さんの珠玉の恋愛小説。なかなか文庫化されなかった
ので、???と思ってたのですよ。もしかしたら、大幅に加筆されて
別の作品として生まれ変わるのかな、なんて期待もちょっとしてたり
して。

文庫化記念に、うちにあるハードカバーを引っぱり出してきて、
明日あたりから読み返そう。たぶん、もう10回以上読んだと思うんだけど。
短い小説なので、本当にあっという間に読み返せてしまうんだけど。

それにしても、よくできた小説だよね。いい意味で言っているのだが。
読んでいて、むちゃくちゃ心地いいというか。主人公たちのセリフが
ばんばん自分の中に入ってくるというか。いや、なかなかないよね。
こういう小説は。毎日新聞に私が勤めてたとき、学芸部の記者と、
那覇に行って、池澤夏樹さんにインタビューしたいよね、って、
ずっと話してたんだけど、結局実現せず。かれ(記者)は今、
東京でずいぶんと活躍しているみたいだけど。

そうそ。きのうひさしぶりに167MT(コンタックスのカメラ)
を引っぱり出してきて、津田沼の駅の写真屋さんでPRESTOを
買って詰めた。……。やっぱり、モノクロのフィルムを詰めてると、
なんか違うね。うん、ハッキリと自分の中で、違うよ。カラーフィルムを
入れてるカメラを持ってるときは、記念写真を撮るよー、って感じ
なんだけど、モノクロだと、作品をモノにしてやろう、という
ちょっとだけギラギラした気持ちが、自分の中にある。フィルムなんて
カラーもモノクロも一緒じゃん、とかって言われちゃうと思うけど、
それが全然そうではないのだよ。

が、自宅に暗室があるとかっていう恵まれた環境の人をのぞいて、
モノクロの写真ってカラーより圧倒的にコストがかかるんだよね。
ほら、最近、0円写真とかっていって、カラー写真の現像、プリント
全部ひっくるめて、1本あたり6、700円くらいで出来ちゃうでしょ。
モノクロだと、現像に4、500円かかって、あとプリントは1枚
35円とか。それも機械焼きの黒も白も全然階調が出てない、
どうしようもない、コマの確認くらいにしか使えないような代物が。

手ごろな価格で手に入るフイルムスキャナの性能が、もっとよく
なればなぁ。今の会社に入った直後に買った、ミノルタのフイルム
スキャナは、開発の人が認めるくらい、メタメタで。とくに、
Windows環境ではどうしようもないくらい、ダメダメで。
まったく「使えない」ので、数ヶ月でソフマップ行きとなって
しまいましたが。あのトラウマがあるので、よっぽどいいものが出て
こないと、フイルムスキャナを買おうという気はしないだろうなぁ。
このあとしばらくは。

そう。そういうわけで、モノクロ大好きの私ですが、プリントもせずに
現像だけして自宅の物置で眠っているモノクロのネガが、やまほどある
のね。だから、最近はモノクロで撮影するのにちょっと臆病になっている
ところがあるかもしれない。けどダメだよね。そんなことを言っていては。
少しずつでも、自分の作品を増やしていかないとね。Webの写真も
最近、全然増えてないしね。

すいません。もし写真が増えるのを期待してちょくちょく見に来てくれて
いる方がいらっしゃったら、深く深く、お詫びいたします。
気長にお待ち下さい。愛想を尽かして下さってもいっこうに構いませんが。
だって、仕方ないよね。私も気が短い方だから、いつまでたっても更新
されない写真のサイトなんて、来なくなっちゃうよね。それはそれで、
しょうがない。

・2月18日(木)

今、出張校正中。「しゅっちょうこうせい」というのは、印刷所に行って
印刷前のデータを最終チェックするのですね。昼過ぎから始めて、
夜までかかる。

最近、特別な話題もないです。あ、ないことはないのですが、
今のところ日記に書くべきことはないという感じでしょうか。
いつもながら、回りくどい言い方ですが。

あ、風邪のほうは、おかげさまで全快しました。
なんかあんなに咳が出ていたのがウソのよう。
やっぱり、健康がいちばんですね。うんうん。。。

そうだ。ポスペで大田区に住んでるおねえさんと、
メールの交換を始めた。まだ数往復だけど。けど、
長続きするといいなあ。

この世の中での人間関係が煩わしいと言っても、
別の世界で、人以外の生物(?)ばっかりと
付き合わなければいけないとしたら、それはそれとして
今以上に煩わしいことだろう、って夏目漱石が
小説の中で書いていたような。(あるいはエッセイか)

これって、ホントにそうだな、と思う。

わたしもそれほど人間が出来ている訳ではないので、
職場とか、ふだん周りにいる人たち全員と、等しく
上手に付き合いが出来ているかというと、かなり
疑問。私って、だれにも負けないくらい気分屋だし。
(おでんが食べたい)
でも、それでも、周りに(たまたま)いる人たちと
上手に賢く付き合っていく、ということは、実は
人間としてかなり重要な能力なんだろうな、と
思う。自分が苦手なことだけに、強いてそう言い聞かせて
いるんだけど。

あ、そうだ。昨日、メールの文章の中でなにげなく
発した言葉が、友人をひどく傷つけてしまったようだ。
……反省、反省。

<私信モード>
ごめんなさい。私は深く反省しております。
お詫びのメールでもちょっとふざけてしまってごめんなさい。
本当に済まないと思っています。どうぞお許しを。
</私信モード>

ということで、そういうことです。

そう。しばらく前からノートPCでホームページの全データを管理するように
して、それに伴ってHP日記(これ。)もノートで書くようにしたのね。
ううん、話が逆か。ノートで日記を書くようにしたのにあわせて、全データを
ノートに移したのですよ。
えー、とにかく、ノートで日記を書くようになってから、1行の桁数が、少し短く
なったような気がする。ノートのディスプレイって800×600ドットなので、
どうしても、80桁以下で、折り返すようになってしまう。。。

いやいや、もし気になっている人がいたら、あれかなぁ、と。
あれっていっても、どうしようもないんですけど。。。
和室で、布団にはいって、その上にテーブルを置いて、ISDNカードに
ケーブルをつなげば、むっちゃ快適な、完璧に近い通信環境が構築できる。。。
デスクトップは隣の部屋にあるんだけど、隣の部屋、フローリングでむちゃくちゃ
寒いんだよなあ。。。 なので、めったに近づかなくなってしまった。。。
メールのバックアップ?用くらいにしか、立ち上げないっす。。。

そう、ノートに対して不満はないんだけど、強いて挙げればHDDが
もう少し大きいといいなあ。T-ZONEの通信販売で、3.2GBが
19,800円とかで出てた。うーん、欲しいなあ。。。
だれか買ってくれないかなぁ?

・2月20日(土)

今日、幕張メッセでやってるMac World Expoに行ってきた。
すごい人だった、土曜日だったので、けど、幕張メッセの
中心部、4~6ホールしか、使ってないのね。両端のホールが
空いているのが、ちょっと寒々しかったなぁ。

私が興味を持っている、インターネット系のブースは、あまり多く
なかったかな。もう少し狭い意味での、Mac周辺のハード、ソフトが
やっぱり多かったような。

人が多いところはとても苦手なので、そうそうに逃げ帰ってきた。

今日はかなり落ち込んでいた。昨日、親友のMに対して非道なことを
してしまい、ものすごく彼を怒らせ&悲しませてしまった。
詫びるのは簡単だけど、本当に心から反省することというのは
自分がよく変わることでしか相手に伝えることはできないと思う。
なので、しばらく連絡を取らずに自分を作ることに専念していようと
思っている。

そのことがあって元気がなかった今朝、あなたのホームページは
最低ですね、っていうメールが「後輩」とかいう人から舞い込み。
読んでみると、私が前に勤めていた新聞社の名前は書いているのに、
いま勤めている出版社の名前を書いていないのはおかしい!って。
新聞社に勤めていたことを自慢してて、いまの会社を差別している
に違いない、って。すごい勢いで。あんまりびっくりしたので、
寝ぼけ眼で、そうではなく、いまの会社の名前を出すと、日記に
いろいろ書きにくくなるから……、って返事を出した。それから、
人に意見するメールを出すときは、最低限、自分の名前くらい
名乗ろうね、それがエチケットだよ、って書き添えて。

そうしたら、さっき返事が来たよ。分かってくれたみたい。
なんか、妙にすっきりしてた。けど、自分が私に対してどれだけ
いきなりぶん殴ったか、ってことには無自覚みたいだ。

そうねえ。私も、他人の痛みには鈍感なので、あまり彼女のことは
責められないのかな。

Mac Expoに行く途中、Mを傷つけてしまったことをずっと考えてた。
たまたま、ELTのTime Goes Byが掛かってて。何度も何度も
繰り返し、聞いたよ。こんなに歌詞が染み込んできたことって
なかった。イイ曲だね。いつか、彼らのコンサートに行きたい。

ぜんぜん関係ないけど、DOSの時代からパソコンやってる人間に
言わせると、PostPetのコマンド、「ctrl+H」で「おやつ」という
のには、納得がいかない。メールを書いてる途中、なんどおやつ画面が
立ち上がったことか。ctrl+Hっていえば、ふつうはBackSpaceだろうに。。。
Macが先行しているソフトのように感じるので、Macのしきたりに
合わせたのだろうか。。。分かんないけど。。。

そんなところですかね。そう、最近、着メロ作りに凝ってます。
と言っても、どっかで聞いたような歌謡曲とかじゃあなく、オリジナルの
単調な繰り返しで。電話の呼び出し音って、やっぱり、曲じゃなくて、
分かりやすいフレーズの繰り返しがよいと思うのですよね。なんとなく
絶対そうだよね、って自分で思う。なので、ドミソドミソドミソレー、
とか、なんとか、いろいろ、試行錯誤して、やってます。
会社では3日ごとに変わる小倉の着メロ、って言われてますけど。
電話が鳴ってても、あ、私だ、って気づくまで時間が掛かるのが
難点と言えば、難点。
これぞ、っていう決定版が出来れば、1ヶ月はもたせられると思うんだけど。(^^;

・2月24日(水)

我が母子家庭、どうやら実家に戻ることになりそうだ。詳しくは、後日。

それはそれとして。前にも書いたことがあるかも知れないけど、さいきん、
桜の木が気になる。ほら、もう少ししたら、咲くじゃない? それで。
なんとなく、桜の木が、そういう雰囲気を漂わせ始めているような気がして
ならないのだな。昨日も、会社の帰り、いつも見る津田沼の車道の端にある
立派な桜の木を、しばらく眺めてた。いちばんいい角度を見つけて。
上の方に、電線が何本も走ってたり、電柱の派手な看板があったり、と、
とても絵葉書には登場しそうもない、フォトジェニックにはほど遠い、
そんな平凡な桜の木なんだけど、それでも、花を咲かせている姿は、
ものすごく見事で。車道にゴザを敷いて、何時間でも眺めていたいほど。
本当に立派なんだよね。
もう1本、私、気になっている桜の木があって。飯田橋の駅のそば、ラムラって
いう駅ビルがあり、その隅の額ほどの地面に植えてある、一本の桜の木。
外堀と駅ビルとに挟まれて、本当に窮屈なところに咲いてるんだよね。
あんまり顧みる人もいなさそう。けど、私はいつも見てる。だれが見ていようが
見ていまいが、桜は花を咲かせるのが仕事で。

見るもよし 見ざるもよし されど我は咲くなり

っていう言葉があったと思うけど。

そうだ。昨日からパール・バックの「大地」を、ついに読み返し始めた。
2回目。1年ぶりになるのかな。書かなかったと思うけど、こないだ行った
近所の病院の本棚に、なぜか「大地」の2巻が置いてあり。だれがこんな
ところで、「大地」の、それも2巻を読むんだよー、と思ったが、もしかして
そろそろ私に「大地」を読み返す頃なんじゃなーい、と教えてくれて
いるのかもしれない、と思って。
で、読み返すことにしました。で、昨日の通勤のときから、読んでます。

あ!そうだ。昨日の通勤のとき、人身事故に遭遇したのよ。私の乗っていた
総武線の上り各駅停車が、船橋駅のホームで人を轢いた。飛び込み自殺って
いうやつ。今日、新聞見たら、地方版に小さく載ってたよ。35歳から
50歳くらいの男性、って。

私は2両目に乗ってた。「大地」に夢中になってた。船橋駅に到着する
直前、すごく長いクラクション(って電車の場合、言わないよね。ホーン?)
あ、警笛か。そう、警笛が長い間、鳴り渡り。こりゃあ、普通じゃないよな、
なんかあったな、と思ってたら、ホームの途中で停車し。乗務員がバタバタしてる
雰囲気が伝わってきて。けっこうすぐに、「人身事故が起きました」みたいな
車内放送が流れて。ホームにいた人たちが車両の下をのぞき込んだりしてる。
しばらく座席に座ったまま、まわりの様子を見てたんだけど、埒があかないと思い、
1両目に移動して、運転席あたりがバタつく様子をうかがってた。
駅員や運転士が出たり入ったりして。無線で連絡を取ってる。何度となく車内放送が
繰り返される。人身事故に遭遇した。処理にかなり時間が掛かると思われる、って。
退屈になってきたので、運転席のドアをたたき、運転席経由でホームに出して
もらった。ホームを歩いてたら、どこですか? 5両目の下です。ってやりとりするのが
聞こえたので、絶対に見てやろうと思い、ホームをずんずん歩いた。5両目は、ほとんど
ホームの端で。
電車の下をのぞいたら、カーキ色の洋服と、真っ赤な何かが見えた。
ああ、おじさんなんだ。不況で、仕事がなくなったのか。借金で、
首が廻らなくなったのか。それとも……。けど、死人に鞭を打つようだけど、
彼は負けたのだ。人生に。その敗北の人生の最後に、悪あがきとして、
JRの電車を1時間ばかし止めてみせて、何万人かの人たちを、自分の死に
立ち会わせた。

けど、そんなことで、自分の人生の証を立てようとするっていうのが、
どうも納得いかない。って、友達に話したら、自殺する人って、人に迷惑を掛けるとか
そんなことにきっと気が回らないと思う。衝動的に、なんだよ、っていう。
そういうものなのか。

彼の死を、反面教師として、自分が関わっている人たち、自分の家族、後輩、
友人、そう、大事な人たちを、こんな風に死なせては、絶対になるまい、と
彼のちぎれた体の一部分を思い出しながら、そう考えていた。

そのためには、まず決意すること。そして、祈ること。行動すること。

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